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りんご和牛信州牛の魅力

育てる人

浅岡牧場
浅岡久志

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先代からの情熱をつなぐ

栗菓子と葛飾北斎の地として人気の小布施町。

観光客でにぎわうメイン通りのほど近くに浅岡牧場はあります。
小布施ならではの伸びやかな栗畑と北信五岳を望むロケーション。こんな長野の観光を代表する土地からもりんご和牛信州牛を供給しているのだと取材者も少し驚きでした。

今回、お話をお聞きさせていただいたのが小布施の浅岡牧場と中野市の奥信濃畜産の二牧場から、大信畜産へりんご和牛信州牛を最大級供給している浅岡久志さんです。

浅岡さんは浅岡牧場の二代目。お父さんが十数頭から始められた肥育業を継がれ、現在では十倍の規模まで拡大されてきました。
取材にお伺いすると、にこやかな笑顔で「どうぞ」と農業用のプラ箱をすすめてくださり、牛舎のすぐ横で肥育談義。
その姿に「ああ、この人は本当に肥育一筋の方なのだ」と納得しました。
初秋の小布施の日だまりは清々しく、気持ちよさそうに昼寝にふけるりんご和牛信州牛の傍らで浅岡さんの肥育にかける思いをお聞きしました。

先代たちの創意工夫を引き継いで、さらに高みへ

「りんご和牛信州牛の品質は全国の老舗ブランドと並んでも少しも見劣りしないし、先頭集団の一員だと思います」と浅岡さん。
生産者、流通業者、飲食店が一体になって供給する長野のりんご和牛信州牛は牛肉文化の関西でも評価を得ているとのこと。

「それも、一代前の父親たちがこつこつと築き上げてきたことが礎になっているんです。長野は肥育する歴史があったけれど、それをもっと良いものにしようと先人たちが知恵を出し合ったんですね。もっと良い飼料を求めてその道のプロに協力を仰いだり、実際に飼料工場を作ったり。協力しあうところは協力し、牛を育てる面では互いに刺激しあって良い牛を育て続けたんです」

浅岡牧場では、りんご和牛信州牛の肥育期間が平均より3~4ヶ月ほど長いそうです。平均は仔牛が牧場に来てから18~20ヶ月ですが、浅岡牧場では22~24ヶ月かける。期間の長さは生産農家の考え方で変わってくるので、一概にどちらが良いかは言えませんが、「やっぱり納得いくまで手間をかけたいし、ちょっとゆっくり長めに育成するのがここのやり方にあっているんですね」と浅岡さんは言います。
納得いくまで育て上げた牛は肉質がよい感じにしまっており、腿部位の霜降り具合が充実しているそうです。もちろん、コスト面で考えれば肥育期間は短い方がよい。それでも、「りんご和牛信州牛」という価値を全国に知ってもらうために、そしてプロとして高みにいくために浅岡さんは日々を重ねているように見えました。

浅岡さんのお話をお聞きしていると「高い品質を維持し続けることが本当に大切なんです」という言葉が何度か出てきます。一頭ずつ経験を積み重ねることはできても、新しい仔牛がきたらまたゼロからの試行錯誤。それは肥育30年の経験でも変わらないそうです。
「長い期間、季節を問わずに、きちんとした品質を提供すること」がブランド向上に必須であるという自負を持ちつつ、それがいかに至難の業かというプロとしての実感の両極を見据えているように見えました。

先代たちが蒔いてくれた「りんご和牛信州牛」という種を、より質の高いものに育て上げようと浅岡さんたちの世代が切磋琢磨している。今や全国のブランドと肩を並べる「りんご和牛信州牛」は、世代を通じた夢なのです。

米どころ信州から生まれた「りんご和牛信州牛」

今のりんご和牛信州牛の要となっている「飼料」にも先代たちの創意工夫があるそうです。
昭和49年のオイルショック。未曾有の物価高騰の中で、なんとかコストを抑えてよい飼料を作れないだろうか。そんな発想からりんごジュースの搾り滓をはじめ、おから、トマト滓、酒粕、ワイン滓、味噌大豆の煮汁など食品の副産物を活かした飼料が、数多の人や企業の協力を得て生まれていきました。
りんご和牛信州牛を育む「りんご入り発酵飼料」は、かつて牛にりんごを食べさせると牛の健康を保つことがあると伝統的に知っていた奥信濃の生産農家ならではの飼料なのです。

りんご入り発酵飼料を食べて育った牛の霜降りぐあいや、白く粘りのある脂肪は旨みを引き立たせるとプロからも評価を得ています。
「それでも、牛の成長度合いや健康状態は一頭一頭違います。一頭ごとの様子を見たうえで飼料とワラのバランスを調整したり、トウモロコシや麦を与えたり。育てる人間が牛舎にいる時間が多いほど、良質な牛になるんです。やっぱり」

牛の食を促進し、消化を助けるに稲ワラは欠かせないそうで、毎年米の収穫期には良いワラを求めて田圃を回るそうです。「稲刈りは土日に集中するからこれがまた大変なんだよ」と笑う浅岡さん。
牛一頭を一年育てるためのワラは百束必要だそうで、浅岡牧場には約120頭の和牛がいるので、なんと一万束以上!
集めるだけでも大変な労力ですが、「良い牛を育てるためには良いワラが必要で、良いワラには良い米が必要なんですよね。牛の名産地に米どころが多いのはそれも関係あるかもしれませんね」の言葉になるほど。
米どころである信州から生まれた「りんご和牛信州牛」が全国の人によろこばれるのは、信州人にとってもとても誇らしいことだと思います。

将来の夢は何ですか?の問いかけに「本当にただの夢だけどね」と笑いながら、「この小布施の地で自分で育てたりんご和牛信州牛を食べられるお店を出してみたいんですよ。隣りが小布施ワイナリーさんなので、小布施にきたついでに、ここで生まれた美味しいステーキに美味しいワイン、なんていいでしょ」と話してくださいました。それはとてもいい、と信州育ちの記者も大きく頷きます。

近い未来、「せっかく小布施に来たんだから、ワインとりんご和牛信州牛も」なんて会話がそこかしこで聴こえてくるかもしれません。


浅岡牧場
住所:長野県上高井郡小布施町押羽693
電話:026-247-3536


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